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予防接種について

ポリオ(小児麻痺)ワクチン

対象年齢3ヶ月〜7歳6ヶ月

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 ポリオウィルスによる胃腸炎の後に運動神経麻痺をきたす疾患です。現在の生ワクチンが導入されてから患者は激減し、近年国内での自然発生はなくなりました。現在、北朝鮮、インド、アフガニスタン、中央アフリカ以外での発生はありませんが、国際化の現代ではまだ接種が必要です。

 飲むワクチンで、6週間以上の間隔で2回服用します。副作用は極めて稀ですが、400万人に1人程度にワクチンによるポリオ様麻痺が発生することがあります。これは母親からもらった免疫が残っている生後6カ月以前に接種を開始することで予防できます。数年以内には注射で行う不活化ワクチンに変更される予定です。最近個人輸入した不活化ワクチンの接種が一部で行われていますが、不活化ワクチンは自然感染がある地域では不十分ですので、現在ワクチン由来のポリオウィルスが蔓延している日本でこれらを並行して接種するのは危険な場合があります。なるべく早期の安全な時期に接種しましょう。

四種混合(DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)ワクチン

対象年齢:3ヶ月〜7歳6ヶ月

 ジフテリアは近年激減しましたが、百日咳はまだしばしば見られ、乳児に感染すると呼吸停止や脳障害をおこすことがあり大変危険です。近年は成人での百日咳が増加しており、親がこどもにうつす例が多くなりました。乳時期以降でも名前の通り長期間の治療を要しますので、なるべく早く接種したいワクチンです。破傷風は稀な疾患ですが、日本中の土壌に存在する菌で、怪我の傷に感染して発症すると、死亡率は70%以上に達する恐い疾患です。東日本大震災で破傷風が発生しています。災害の対策としても重要なワクチンです。

 かつて何度か副作用が問題になったワクチンですが、最近は添加物が見直され、副作用もかなり少なくなりました。近年の流行情況からは出来るだけ早めに受けておきたい予防接種です。一期を3〜8週の間隔で3回接種した1年後に1回追加接種で、合計4回です。

BCG(結核予防)

対象年齢:〜6ヶ月未満

 平成17年4月から結核予防法が改訂となり、ツベルクリン反応は廃止され、生後6ヶ月までに直接接種するようになりました。
 3ヶ月未満でも接種できますが、極めて稀ながら、先天性免疫不全が診断されるまでに接種してしまうと重症な副作用が発生する恐れがあり、3ヶ月以降に接種するのが望ましいと考えられます。接種期間が短いのでご注意ください。
 BCGは結核感染を完全に予防できませんが、しかし乳幼児の全身性結核感染である粟粒結核や結核性髄膜炎などの重症結核の予防効果があります。
 いわゆるハンコ注射です。副作用は極めて稀です。

麻疹・風疹混合(MR)ワクチン

対象年齢:一期:1歳〜2歳未満 二期:小学校入学1年前の1年間(4月〜3月)

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 平成18年4月から予防接種法が改訂され、麻疹と風疹は混合ワクチンで同時接種になりました。また接種年齢が変更となり、2回接種に変更されていますので御注意ください。

 麻疹はかつて誰でも1度はかかる疾患で、俗称「命定め」とも言われた病気でしたが、予防接種が開発されて多くの国では根絶に近い状態になっています。しかし日本は世界でも有名な麻疹多発国で、外国から警戒されているのは悲しい事です。空気感染で伝染力が極めて高く、同じ部屋にいるだけで感染します。いまだ有効な治療法がなく、最近でも1000人に数人が死亡し、脳炎・肺炎などをおこし、入院率も高い怖い疾患で、最も重要な予防接種と思います。最近小児科の学会でも「1歳の誕生日に麻疹ワクチンを!」というキャンペーンを行っています。
 風疹は最近10年近く県内で流行がないので軽んじられているのか、近年接種率の低下が目立ちます。妊娠中の感染で胎児に先天異常を起こすのが有名ですが、1000人に1人位が脳炎になり、血小板減少性紫斑病を起こすなど決して油断ならない病気です。

 接種後2割位の人に微熱がでますが、むしろよくついていることが多く、安全なワクチンです。
 近年は地域での流行が稀になったため、接種後10年位しか免疫が持たなくなりましたので、小学校入学前に2回目の接種が導入されました。対象者はかならず接種してください。現在行われている中1の3期と高3の4期は来年度までですので、2期接種対象者に次回の公費での接種機会はありません。

麻しん・風しん混合(MR)ワクチンIII・IV期

対象年齢:中学校1年生・高校3年生(または高3に相当する年齢の人)

 数年前10代及び20代を中心とした年齢層で麻疹が大流行し、高等学校や大学において休校等の措置を余儀なくされるなど、大きな社会問題になったのは、まだ記憶に新しいところです。

 麻疹や風疹は、ワクチンで一度免疫が出来てもその後は自然に免疫が弱まっていくわけですが、かつては度々地域で流行が発生していましたので、周囲の流行の影響で免疫が強化されて、長い間効果が持続していました。近年、麻疹・風疹の流行はかなり稀となりましたので、このような自然な免疫強化の機会がなくなってしまうと、10年間くらいで免疫が不十分になってしまうことがあります。また、5%位の人は接種したのに免疫ができないことも知られています。

 麻疹は感染力が非常に強く、治療法もなく、現代の最高の医療をもってしても千人に1人以上は命を失う疾患です。また風疹も脳炎や血小板減少性紫斑病を起こしますし、最も重要なことは女性が妊娠中に感染すると、先天性風疹症候群という胎児の心臓病などの先天異常を起こしてしまう事です。これらを避けるために、最も有効で唯一の手段は予防接種による発症の予防です。

 以上の事実から国は、平成20年度からの5年間を麻しんの排除のための対策期間と定め、中学1年生と高校3年生に相当する年齢の人に、時限的に公費で追加接種を行うことにしました。平成24年度が最後の年度になります。既に2回接種を受けている人や自然に感染した人は接種を受けなくても構いませんが、特に風疹は誤診の多い病気ですし、三重県では10数年流行がおこっていませんので注意が必要です。もし自然感染していたのに予防接種を受けても、単に免疫が強化されるだけですので問題ありません。血液の抗体検査などで明らかに罹ったことが判っている人以外は接種を受けてください。

 ワクチン接種は個別接種で、対象学年の人は無料で受けられます。体調の良い時に個々に委託医療機関で接種を受けてください。予診票に保護者のサインがあれば、3・4期は親の同伴がなくても受けることができます。

日本脳炎ワクチン

対象年齢:一期・一期追加:3歳〜 二期:小学校4年生〜20歳

 平成17年6月から、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の発生の懸念から積極的勧奨が中止されていましたが、昨年解除されました。現在は以前のマウス脳由来のワクチンではなく、細胞培養型の新型ワクチンに切り替えられています。実際には日本脳炎ワクチンでADEMになったと証明された例はなく、理論的に疑わしいとして認定されたにすぎません。三重県を含め西日本には日本脳炎ウィルスは蔓延しており、現代でも危険がないわけではありませんので、接種しておいた方が安全と思われます。東南アジア中心にまだ毎年数万人の患者が発生しています。現在は標準的な一期接種対象者以外は保健センターから個別に送付されていませんので、希望者は母子手帳を持って保健センターまで予診票を取りに行って下さい。
 平成23年5月から上記の積極的勧奨中止の時期に打ち控えをした人を救済するため、6か月〜20歳未満の全ての人に、1期3回+ ll 期1回(9歳以上)の合計4回まで公費で接種ができるようになりました。中途半端にうち忘れている人は、なるべく早く接種を進めてください。

二種(破傷風・ジフテリア:DT)混合ワクチン

対象:小学校6年生

 乳幼児期の三種混合の追加接種です。ジフテリアは極めて稀になりましたが、破傷風の免疫維持のため、是非忘れずに接種してください。副反応は接種部の腫れ位ですが、最近はこれも稀になりました。汚染された土壌での傷口から感染しますので、野外活動時や災害時に感染の危険があります。破傷風は死亡率70%以上の恐ろしい疾患です。東日本大震災でも破傷風が発生しています。万が一の時のために必ず受けてください。

ヒブ(Hib:H.influenzae,type b)・肺炎球菌(7価:PCV7)ワクチン

対象:2か月〜5歳未満

 小児の重症感染症である、細菌性髄膜炎を予防するワクチンです。日本でも平成23年2月からようやく公費で接種できるようになりました。細菌性髄膜炎は3カ月〜1歳までに半数、2歳までに8割が発症しますので、できるだけ早く接種を開始してください。ヒブも肺炎球菌もありふれた細菌で、保育園などでは時期にもよりますが、数十%の児が保菌しており頻繁に感染が起こっています。感染した約二千人に一人が髄膜炎になり、一度発症してしまうと、治療が進歩した現在でも約2割が死亡するか後遺症を残してしまいます。また肺炎球菌は中耳炎や肺炎の代表的な起炎菌ですので、年長児ではこれらの予防効果もあります。
 2月にこれらのワクチン接種後の死亡例が報告され、約1カ月間全国で実態調査がなされ、因果関係がないことが示されましたので、4月から再開されました。
 海外では、3種混合ワクチンやポリオなどと同時に接種されていますが、日本ではこれらの混合ワクチンがまだ認可されていません。なるべく早く免疫をつけるのが最も重要ですので、同時に接種することをお勧めします。
 標準的には、2か月頃から約1カ月間隔で3回接種し、1歳代で追加接種します。7か月以降に始めた場合は回数が減ります。

子宮頸がん予防ワクチン(ヒト・パピローマウィルスワクチン)

対象:中学1年〜高校1年の女子

 近年、子宮頚がんが一番多いのが20歳代になっています。有名人が子宮頚がんで亡くなったり子どもを望めないようになったのを色々なメディアでご覧になった方も多いと思います。この原因のヒト・パピローマウィルスに対するワクチンです。
 このワクチンを接種することで全てを予防できる訳ではありませんが、3/4程を予防することができます。性行為感染症で、1回の性交渉でも感染することもありますから、出来る限り初めての性交渉前に接種することが望ましいことになります。
 日本では予防接種は一般的に皮下注射ですが、慣れていない筋肉注射のため、他のワクチンより痛みが強いですが、それ以外の副作用はあまりありません。
 1カ月間隔で2回接種し、半年後に1回追加接種します。


▼任意接種ワクチン:自費

水痘(みずぼうそう)ワクチン

対象:1歳以降

 みずぼうそうは空気感染しますので、大変伝染力が強く、1年中流行しています。現在はアシクロビルという抗ウィルス剤があるため、死亡例はきわめて少なくなりましたが、基礎疾患がある人が罹ると致命的にもなりうる疾患です。また瘢痕をのこすことが多く、美容的な問題が発生することがあります。
 予防率が比較的悪く、2割近くが接種してもかかりますが、罹っても数日で終わる軽い水痘となります。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチン

対象:1歳以降

 おたふくかぜは1/3位が気がつかず経過します(不顕性感染)ので、完全に隔離が難しく繰り返し流行が起こります。数十人に一人が無菌性髄膜炎になります。また急性膵炎・精巣炎・卵巣炎を起こすことがありますが、不妊症にはならないようです。一番の問題は、千人に一人以上に難聴が発生することです。後天的に難聴になる一番の原因がおたふくかぜです。海外では麻しん・風しんとの3種混合で接種しますが、日本は過去の副作用裁判の影響で定期接種が復活していません。任意接種なのは重要でないためではなく、社会的な問題です。なるべく予防接種で防げる疾患は防いであげてください。

インフルエンザ

対象:6か月以降

 毎年、冬になると流行しますので、11月頃から接種を開始します。昨年までの新型インフルエンザは今年から季節性インフルエンザになります。インフルエンザは常に変異を続けますから、毎年それに近いと予想されるワクチンが生産されますので、毎年接種する必要があります。
 来シーズンからは、接種量が3歳未満と3歳以上の2種類だけになる予定です。

 
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